争いの中

〜アクシリア王国・王都『』〜

「魔女はもういませんか?」
「はい。リシアンで最後ですね」
「そう…。ふふふ。愚か者ね」
 私は、マスターであるリシエンが殺された時、魔女全員を殺そうと思った。リシエンを殺した犯人も分かった。アクシリアだ。この国の聖母とかいう奴だ。
「ねえ、明日は町の葬式でしょう?そのあと、町の残った住人全て殺しましょう」
「ええ」
 私は微笑む。これで頂点に立てるわ。
「準備をしてきなさい」
「はい」
 サタルアが出ていったことを確認すると、部屋にいる者を呼ぶ。
「…あなたがいるのは分かっているんです。出てきなさい」
「ははは。ばれちゃったか…」
「水の神、また遊んでいるのですか?」
「もう少し柔らかく接してくれよ…。ん〜。水の精霊で、優秀なシーアっていう子が行方不明でね。教官全員で探しているんだ」
「教官全員で…?馬鹿じゃないの?」
 優秀な精霊を育てる為の学校があり、水の神をはじめ、たくさんの神が教官(教師)として指導している。そんな神々がね…。
「そうか?まあそこで、協力してくれないか?」
「いいえ。明日、私は行かなければならないのよ」
「そうか…。でも、気を付けろ。この国に"奇跡の子"がいるらしいからな〜♪」
 そう言うと去っていた。相変わらずお騒がせな奴。

〜アクシリア王国・町〜

「あなた…」
「町長!」
「シスター…」
 葬式で泣いている人々。私はこっそり見ていた。
("奇跡の子"ね…。きっとあの子。夜になったら、催眠をかければいいんだわ)
「さあ、悲しみから立ち上がらなければならん。今日は町の宿に帰ろう。もしかしたら、まだ殺人犯がここにいるかもしれん」
(ええ。その通りよ)
(ふん。こんな町か…。何の価値が?)
(!?)
(まあ、落ち着け)
 水の神…。側には、金髪に青い目の少女がいた。
(この子が?)
(まあな。おっと帰らなければ怒られる)
(そう…。)
 町の人々が眠りに着き、すっかり暗くなった深夜2時。あらかじめ、住人やアクシリア王国上級戦士隊などの人の食事には、睡眠薬をたっぷり混ぜておいた。これで安心…。
「さあ、サタルア。あの宿ごと爆ぜさせて」
「はい」
 私は、水が専門魔法なので、炎が専門魔法のサタルアに任している。
 幸い、住人の宿と隊員の宿はかなり離れていたので、特に気づかれず終わった。
「さあ、去りましょう…」
 私は笑みを浮かべた。