第3話 旧3年4組大集合!

「・・・よく集まったな」
 僕は特に連絡先を交換してないため、他の女子に任せた。(小松は少し抜けているから誰もあてにしない)
 集まった日は朱美が突然やってきた週の週末。学校が始まったばかりだから皆暇なのかもしれない。
「うわ、壱斗くん!?変わってないねー」
 若干同窓会のムードになりつつも始まったこの会議的なもの。そして目の前の女子は・・・
「上村愛だよ、2年のとき付き合ってたじゃん」
「ああ、愛。ごめんな。せっかくの週末を」
「いいの。朱美のこと前から気にくわなかったんだし」
 そういえば愛とは自然消滅だったような。朱美が突然友達になって、休みの日も色々付き合わされた果てだったような。
「よお」
「あ、お久しぶり」
 最初、まわりがほとんど女子(隣の席だった野田さやかは凄い悪女)という中、前の席だった林健二(ちなみに兄の名は健一)は積極的に接してくれた。
「そういえば上村ってカトレア行ってるんだっけ?」
「たまたま合格しただけだよ。辞退した人がいたから合格できたわけだし」
 名門カトレア学園の募集する入学者数は少ない。理由は不明だが、エリート中のエリートをきちんと育てるためらしい。
「さやかが毎日愚痴ってるよ。つまんないって」
「あいつなら言いそうだな。第一志望の光高校(壱斗たちが通う高校)の入試日すっぽかしたし」
「誰がすっぽかしたですって!?」
 悪女の中の悪女が僕をしめあげてくる。ほんとにカトレアに通う女子かよ。
「ふふふ。いつも面白いね」
「沙織!よく外出許可出たね」
 悪女・さやかが僕を離す。急に離したせいで腰をうった。痛い!
「それ言うなら舞にも言ってよ。まあ外出許可とれたのも私たちが優秀だからなんだけど」
「さすが沙織!」
「深田さんは相変わらずだな」
 深田沙織はクラスのまとめ役だった川田真帆より成績優秀でテニスの選手でもある。高校生だが、オリンピックにも出れるんじゃ!?と期待されており、時おりテレビでも見かける。
 一方の野本舞は箱入り娘とも呼べる根っからのお嬢様。英才教育を受けながらも公立中に普通に通っていた。
「舞はまだみたいだけどそろそろ始める?」
「そうね。私も舞も夕暮れ以降の外出許可はおりてないの」
「そういえばさ、沙織も舞も同じ寮なのになんでバラバラなわけ?」
「そうだよなあ。壱斗もそう思うよな」
「ああ」
「彼女はご令嬢だから私とは格も違う寮にいるの。一流ホテルみたいな寮に」
「はあ!?たかが高校生活3年間過ごす寮だろ!?」
「ねえさやか、寮ってそんなんだと嬉しいよね」
「何言ってるの?愛。そんなんじゃ庶民は落ち着けないでしょ」
 エリザベア女学園の恐ろしさに驚く中、きらびやかな服の舞が現れた。横にはごつい体に無表情のボディガードがいる。
「もうさがっていいわよ。ここから先はプライバシーに関わるから」
「はい、お嬢様」
 そして、舞は笑顔で走ってきた。
「もう窮屈で退屈だったの。お父様から大学に入るまでファストフードは禁止って言われるし・・・」
「それよりもそろそろ食べながら西宮さん、首藤静さん、林田くんについて話し合いませんか?」
 長くなりそうと判断した川田さんはバッサリ言い切った。
「それもそうね。今日は色々内緒で食べるわ」
「私もそれをおすすめしますよ」
「壱斗、私、朱美の3人で本当に迷惑かけてごめんね、皆」
「ううん気にしてないから」
 皆口々に気にしてないからと言う。優しいメンバーだなあ。
「じゃあ出席番号順に中3の時のあの日とか関係性などについてどうぞ」
 僕と静はごくりとつばをのみこみ、見守ることにした。

1番・伊井田香織(探偵気取りのボクッ娘)
「ボクは最初、西宮サンは凄いオーラ放ってるって感じたんだ。なんかね、いつか人も平気で殺しそうなオーラ。静サンや林田クンはさすが幼馴染みって感じで仲良しだなあって思ってたんだ。ところがあとで愛サンに聞いたんだけど彼女、壱斗クンと愛サンの仲を裂いた張本人らしいね。でも3年になると壱斗クンが愛サンに近づく度愛サンを睨み付けていた。このボクが観察していたんだから間違いないよ。え?関係性?うーん。ボクにとって3人は観察対象だったかな」

2番・上村愛(朱美が大嫌い、さやかの親友)
「私は西宮さんを憎んでいるよ。せっかく勇気をもって告白して壱斗くんと付き合っていたのに、邪魔したんだから。3年生になって同じクラスになれたことを内心私は喜んだの。西宮さんの目の前で壱斗くんを取り返せるって。まあ静さんのことは考慮もしなかったけど。ごめんね。でも甘かった。私の席が壱斗くんの席から離れているから近づく前に近い西宮さんが引っ張っていって。その時は悔しかった。でもさりげなく近くをわざと通って手に触ってくれて。凄い嬉しかった。確かに伊井田さんの言うとおり視線がグサグサささってきてたのは事実。」

3番・江田恭介(陽の友達、朱美をいじめてた)
「俺、朱美をいじめてたんだけどさ、あいつ6月ぐらいから変になったんだよな。それで7月にあいつ告白してきてさ。俺とか陽たちで笑った。そこにいた他のクラスの女子も笑った。でもただごとじゃないことがわかってからじゃ遅かった。『昨日朱美、部活に来なかったけど』って桜に言われてまさかと思ったらあいつあんなことになって・・・。静さんとは何もなかった。壱斗は苦手だった」

4番・大島学(陽の友達、朱美をいじめてた)
「おらも恭介と同じだ。でもな、おらは同じ部員として部活に来なかったとき反省した。っても桜も彰吾も連絡先知らないからダメだった。おらも静さんとは何もなかったし壱斗は苦手だった」

5番・川田真帆(クラスのまとめ役)
「私はクラスの評議委員として静さんや林田くん以外と関わりたがらない彼女をお世話してたのですけど常に無視されていました。でも和田くんにふられたあの日、教室で泣いていたので声をかけると『どうしよう、まほりん』と勝手にあだ名で呼んできたのです。さすがに私もイラッときて『あだ名で呼ぶのやめてください』と言うと『あたしたち友達でしょ?よく一緒にいたから』彼女の感覚のずれには呆れていました。林田くんや静さんとは特になにもありません」

6番・川島勇気(陽の友達、朱美をいじめていた)
「俺もいじめてた。でも軽気だったから入院したときにはお見舞いいってやった。でも拒まれた。静さんはかわいいなって思ってたけどそんな静さんの想いに気づかない壱斗は鈍感すぎて笑えた」

7番・小松直人(陽の友達、朱美をいじめていた)
「あー俺も大体勇気と一緒だ」

8番・坂上速人(キザな奴、バカ四天王の一人)
「この僕がまさかあの日先生に呼び出されるとは思わなくてね、ついめまいがしてたんだ。それでふらりと教室に向かってるとめそめそ泣く声が聞こえて。かわいい子羊ちゃんでも泣いてるのかな?と思ったらまさかあのあけりん(朱美と幼馴染みのためこう呼ぶ)とはね。それで幼馴染みとして『どうしたんだい?』と聞くと『構わないで!このキザ野郎!』って強い口調で言われちゃって。いつもはやくんって呼ぶのにあれはあんまりだったよ。あの日は凄く傷ついたね」

9番・末松優(バカ四天王の一人)
「ゎたしわぁ、とくにぃ関係なかったカナ?でもぉ、ぁの日はぃのこりだったけどぉwwww」

11番・須藤ひろ(天然娘)
「え?朱美ちゃんが?んー知らないけど、林田くんと静さんが仲良くしてるのを見る目、凄い冷たかったよ」

12番・月島彰吾(天才君)
「俺はいつも勉強してたからよくわからんが、時々朱美さんは1人で泣いていたな」

14番・野島彩(絵画において天才)
「私ね、彼女が美術の授業に描いた絵が素晴らしいなって美術部部長として思ったの。それで勧誘してみたんだけど『放課後はすることがあるの』って言ってたよ。先生はがっくりしてたけど、私は何か不思議に感じたなあ」

15番・野田さやか(悪女、愛の親友)
「壱斗とはよくつるんでたけど、朱美の視線はこっちに向けられることもよくあったね。そういやさ、体育祭のときクラス対抗徒競走で陽が朱美の遅れの分取り戻したじゃん?あれ以来視線が消えたんだよねー」

16番・野本舞(社長令嬢、沙織の親友)
「私としてはお父様から放課後はすぐ帰るよう言われていたのよ。あの日-皆がさっきまで言ってた陽くんが朱美に告白された日ね、私は1ヶ月に一度の休暇日をもらっていたの。それで図書室にいたらどしゃぶりの雨が降りだして。ああ、大変だわって思ってたらずぶ濡れの朱美が現れたの。最初はああ、急な雨に濡れたのね、かわいそうと思ってたのだけれど、なんと彼女の瞳は空虚だったの。ショックのあまりでああなったというのは今わかったの。でもあのときはわかんなかったからどうしたの?と声をかけて肩に軽く触れたら倒れちゃったわ。幸い熱はなかったのだけれど、司書の先生と共に運んだわ。18時ぐらいのことね」

17番・早川美穂(菜々、愛子、本田姉妹の親友)
「んーとね、あの日は愛子、菜々と一緒にマンガ描いてたよ。ほら、マンガ同好会だから。雨が降りだしたのを部室から見てたんだけど、誰かが歩いているのが見えて。皆で誰だろうって話してたら図書室に入っていったからびっくりして。でもそのあとは遅れてきた桜と椿が大好きなマンガの最新刊を持って現れたからそれ以上は知らないよ」

18番・花田太郎(バカ四天王の一人)
「俺も残っててさ、しかも一番最後まで残ってた。保健室からふらふらーっと出てくる朱美を見かけて大丈夫かなあって思った」

19番・林健二(伸二の親友、愛子の彼氏)
「壱斗を羨ましそうに見てたのは知ってたし、朱美って小学校の頃パシリされてたんだぜ?知ってたか?へ?あの日?俺は部活に燃えていた!そしたら雨が降りだしてさ、愛子のいる部室にでも行くかと思ったらバケモノみたいな奴がフラフラと歩いてきてビビったぜ」

21番・広中愛子(美穂、菜々、本田姉妹の親友、天使、健二の彼女)
「私は一番に部室に来たの。北山先生(マンガ同好会の顧問)が開けてるかな、って思ったけどそういえばあの先生休んでたなあって思い出したの。それで鍵をとりに行ってたら朱美ちゃんが告白してて。つい応援しちゃった。陽くんがふったのはヒドいと思った」

22番・広中菜々(本田姉妹、美穂、愛子の親友)
「今日もどうせ私が一番のりと思って鍵をとりにきたらね、愛子がやってきて。一緒に部室に行ったよ」

23番・深田沙織(舞の親友)
「私はあの日、お休みしていたの」

24番・本田桜(双子のポニーテールの方、菜々の親友)
「私はその時、椿と一緒に大好きなマンガの最新刊について語り合いながら部室棟に向かってたの。別にすれちがわなかったはず」

25番・本田椿(双子のツインテールの方、菜々の親友)
「桜、すれちがったよ!まるで幽霊だっ」

26番・真中悟(ぼっち)
「その日は僕、おバカさんたちのいのこり監督たのまれたけど、終わったあと貧血を起こしたんだ。それで保健室で寝てたら朱美さんが運ばれてきてびっくりしたよ」

27番・山上賢(バカ四天王のボス)
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28番・山中伸二(健二の親友)
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29番・山田太一(彰吾の親友)
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30番・和田陽(恭介、学、勇気、直人の親友)
「」

「まとめると『陽に告白、ふられる(17:00すぎ)→教室に戻って泣く(17:27ごろ)→しばらくすると真帆がやってきて声をかけられたので真帆とは親友、と思い慰めてもらおうとするも失敗(17:39ごろ)→しばらくして今度は速人がやってくる。さっきのことがつらくついきつくあたる(17:40ごろ)→教室から出て学校をふらつく(17:43ごろ)→雨が降りだしたのにも構わず、図書室に向かって外を歩く。健二、愛子、菜々、美穂が見てた(18:00ごろ)→図書室にいた舞に声をかけられ肩に触れられ倒れる(18:00すぎごろ)→保健室で目を覚ますと悟に声をかけられる。彼に対して愚痴を吐く。→』こうだね