舞台へ

 ノスマラ王朝。私が4歳の15年前に再建されたらしい。噂に聞くけども、王妃は美人らしい。
 そんなある日。私に手紙が届いた。『使用人急募!』・・・名家であるトルスーニョ家から。うん、これにしよう。
「あ、おはよう!マルリア」
「おはよう、タスカ」
「ふふふ。今日ね、これが届いたの」
「あら、一緒じゃない!」
 私は笑う。私、マルリアはノース伯爵の娘。見合いしろ、見合いしろうるさい両親。私は一人娘。
 一方のタスカは一般人で、王朝の法律に基づき、名字を持たない。結婚なんて未来!というお気楽な女の子。私の友達。
「じゃあ一緒に行こう!」
「うん」
「今度はどこだ」
「お父様・・・。トルスーニョ家ですわ」
「あそこには娘ばかり・・・。止めとけ」
「いいえ!私はもう19です。自分で結婚相手は探しますわよ」
「そうか。ならば勝手にしろ」
 お父さんは不機嫌そうに去っていった。
「とりあえず行こうよ♪」
「うん」

「ぎゃああ!?」
「すまないね、私の娘が・・・」
「ふん。勝手に出ていくさ」
 出ていった娘さん。確か・・・私と同い年よね?
「はあ。まあ座りたまえ。今日からしてくれるのか?」
「はい」
「頼もしいな。では早速だが・・・」
「はい」
「庭の手入れや屋敷を掃除してくれ」
「・・・」
 どうやらそうとうな悪になったらしい娘さん。荒れているそう。
「ああ今日はパーティーをするからピカピカにしておいてくれ」
「はい」
 私が屋敷の2階と庭の半分、タスカが屋敷の1階と庭の半分。それぞれやることにした。

「凄い家だな・・・」
 ノース家と比べ少し大きい屋敷。使用人は何人いても足りなさそう。
「これは・・・?」
「ああ、ごめんなさいね。それ私の宝石よ」
「奥様・・・」
 伯爵夫人がやってきた。宝石が床に落ちていた。
「ふう。イタズラ娘には困るわ。今日は王妃や王様、王妃の両親も来るのに・・・」
「そうなのですか」
「まあ頑張ってちょうだい」
 微笑む奥様。素敵・・・。

 あっという間にパーティの時間。きらびやかな会場。
「まあ素敵・・・!」
「ダメよ。マーク様には奥さんと子が2人いるのよ」
「そうだよねえ」
 貴婦人たちがさっきから話しているのは・・・。
「きゃあっ!」
「ああ、すまない」
 私を誰かが倒した。痛い・・・。
「大丈夫かい?」
「はい・・・。あの、誰ですか?」
 悲鳴があがる貴婦人たち。何?
「俺はマーク。王朝の王妃の父」
「・・・え?」
「見たところ・・・あのときの騒動は知らないようだね」
「あのとき・・・?」
「そう、俺の娘たちが狂い、結果的に王朝建国さ」
「あ・・・」
 マークが去ると、タスカが。
「何してたの〜?」
「ぶつかってきたの。ええとマークさんが・・・」
「あれ?知らないの?」
「うん・・・。王妃の父だとは聞いたけど」
「はあ。国の上級戦士隊隊長なのよ?皆の憧れ」
「へえ〜」
「・・・そんなんで結婚できるの?」
「多分」
 正直結婚なんてどうでもいい。私は今を楽しく出来れば・・・。
 その時爆発音が響いた。
「何・・・?」
「痛い・・・」
 タスカの右足から血が。大丈夫かな?
「ふう。ごめんなさいね」
「あの宝石・・・」
「それ・・・」
 私たちはどうしようかと慌てた。