第2話 崩れていく

 次の日。私はイアと登校した。いつもならリンとだけど昨日のが許せない。
「ねえリンちゃんとケンカしたの?」
「ううん。別に。たまにはイアちゃんと登校しようかなってさ思って」
「そっか〜。そういえば、今日数学の小テストあるんだって」
「え!?ちょ、何も勉強してないよ」
「教えようか?」
「ありがとう〜」
 イアちゃんは真面目で優しくて新体操を習いながらも合唱部。まだ秋なのに部長有力候補。
「ねえ、携帯鳴ってるよ」
「あ、誰からだろ」
 開けてみるとあいつから。
『mjヒドいよミク リ/~』
 ・・・返信はしないでおこう。
「早く行ってテスト勉強しよ!」
「うん」
 これを機に真面目になろう。

 イアのおかげで隣の席のチビ・リュウトから驚きの声があがった。(小テストは隣の人と交換して採点)
「おおおおお!?」
「まさかの10連続0点か!?」
 そう、私は数学の先生の個別指導を受けたことがある。
「い、いや・・・8点(10点満点)だ」
「ぬ、ぬおおおおお!?」
 クラス中の男子が叫ぶ。リンを見ると、0点だったらしくため息をつきながら窓の外を見ていた。

「ねえイアちゃん、本当にありがとう!!」
「ううん。ミクちゃん凄いよ!」
「えへへー」
 リンはむっすりとした顔で私に声をかけてきた。
「ねえ」
「・・・イアちゃん、次何だっけ?」
「ねえってば!」
「ん〜社会だよ」
 とりあえず無視をする。

 次の授業も真面目にする。チャットサイトのPassも変えた。
イア:皆で作戦たてよう
 皆にPassを教えた(リン除く)。そしたらイアが突然、そんな書き込みをした。
リュウト:え、どうした?www
イア:いじめのだよ。い・じ・め!
ラピス:いいアイデアだね!
ネル:いいのかな?
ミク(管理人):そもそもカイト先輩と付き合ってるのが悪いし
リュウト:うんうん
>IDgumi(グミ)さんがログインしました
グミ:仲間はずれにしようか。ペア組むとき、女子ってラピスちゃん転入してきて19人なったし必ず余るからリンを
リュウト:ナイスだなwww
イア:あははっ!じゃ、私が首謀者でっ
リュウト:了解!
ミク:皆はどう?
(今は社会の授業中で今年が最後という老人先生の授業。)
ゆかり:うん、いいよ。あたくしが許可してるからご自由に。
カル:うんうん。カイト先生なんかへっちゃらよ!
  *
 しばらく続いたが、授業が終わった。早速、ゆかりとラピスとカルがリンの元へ。
「綺麗なものやうまくいっているものを見ると壊したくなる?」
「あ、ええと・・・」
兎眠りおん。覚えてなくて当然」
「?」
「あたしが前、ゆかりに狙われていたから。それよりも答え」
「・・・そうだけど。今もしてるじゃん」
「ああ、お馬鹿リンを?かわいそうに。あの子のことだから死ぬかも」
「いいよ。気にしない」
「そう・・・。あたし、一度裏切られた。ゆかりに。万引きしたのはゆかりなのに押し付けられて。それが原因で両親は離婚しちゃうし。今もあたし、おばあちゃんの家に住んでるよ」
「へえ・・・」
 ゆかりはこのクラスのボス。彼女が許可すれば何でもok。スマホの所持は彼女の命令により、義務付けられている。忘れれば1日存在を消される。
「ゆかりの言う通り!」
「あたくしの指示に従えないの?」
「そうよ!」
「どうして・・・出ていかなくちゃ・・・ならないの?」
 リンを泣かせるなんて凄いや。天真爛漫とも言われたリンは崩れている。
「ほら席つきなさい」
 鬼のメイコといわれる英語の先生がやってきた。もうすぐ結婚するとか。
「ふう。女の子もやんちゃで困るわ。さ、教科書は・・・」
 授業は順調に進んでいく。
「ではペアでこの会話をしましょう」
 リンの隣はがくと。後ろはキヨテル。斜め後ろはマユ。
「ねえ、やろうよ」
「キヨテル、やるでござる」
「私、どうする?」
「リリィがいるでござる」
 ひそひそと話している。私はゆかりと。
「こんなのあたくしやりたくないわ。でもやらなくちゃね」
「私も嫌だけど・・・」
 今日はお互いに自己紹介。はあ。
「Hallo,I´m Yukari Yuduki.I like cats.I don´t like Rin.」
「Hallo.I´m Miku Hatune.I like dogs.I don´t like Rin.」
 楽しい。リンが嫌いとはっきり言えるだなんて!
 突然、イアがメールを送ってきた。
『あいつ、困ってやがるよwwww今日休んでいる子にも教えておいてね』
 今日休んでいるのはルカ、ミキ、リリィ。早く教えよう♪
「はい、出来ましたか?では少し自習をしておいてください。もし私が戻ってこなければ自分たちで給食準備をしてね」
 先生が慌てて出ていった。静かにいじめをしよう。まずは三人にメールを送ろう。
『>ID・Ryutoリュウトさんがログインしました
リュウト:おーい
>ID・yukarinゆかりさん、管理人・ミクさんがログインしました
ゆかり:どうしたの?
ミク(管理人):今は静かにしなくちゃ
リュウト:イアが首謀者ってできるのか?
ゆかり:さあ?wwww
>ID・ne-tanネルさん、ID・RIOりおんさんがログインしました
ネル:一応、三人にここのパスワード教えておいたよ
ミク(管理人):ナイス!
リュウト:おおっwww
りおん:楽しみだね。リンが自殺するのが
>ID・Mayuマユさん、ID・Ri-リリィさんがログインしました
マユ:本当本当。早く死ね
リリィ:あ、そうだあ〜!リンのメアド、消そうよ