第1話「国の権力者」

(前書いていた小説についてはホームページで更新します)

 ・・・眠い。はっきり言って、授業はつまらない。いくらここがレベルの高いところでも、私には簡単すぎる。
「ロミレ!」
「・・・はい?」
「ちゃんと聞いてるか?ほら、ここを解け」
「ああ、はい・・・。3345、ですね」
「う、ううむ・・・」
 周りの人たちが凄いとか言ってくる。どうして?
 私は、国立研究所の所長の娘、アン=ロミレ。今、中学3年生。
「はあ。何てことだ・・・」
 さっき、私が解いた問題には『スーパーミラクル難しい問題』と書かれていた。嘘でしょ?

 休み時間、幼馴染みのドンがやって来た。彼以外は私に近寄ろうともしない。私はそれでもいい。
「凄いよなあ。あんなにうとうとしてたのになあ・・・」
「あんたこそ大丈夫?この間のテスト、赤点取ってたじゃない。もうすぐ落ちるんじゃない?また編入を申し込んだっていう人がいるらしいし」
「ええっ!?」
「私と同じとこにいたいんでしょう?なら、今日勉強会する?」
「ああ、もちろん!」
 そして、私たちは微笑みあった。

「お待たせ」
「ほら、入って」
「ああ」
 ドンは成績的に私よりかなり下だと思う。でも、ギリギリ私と同じ学園にいる。
「何、これ。簡単な基礎・・・」
「うっせーな!早く教えろ!」
「分かった・・・」
 ドンは集中力があるが、理解力がない。そのため、気がつくと18時になっていた。
「ねえ、一度家に帰ったら?」
「いや、今日から父さんたち旅行だ」
「ふうん。あ、そうか。料理、できないんでしょ?」
「当たり前だ!」
「んもう・・・。仕方ないわねえ」
 私が後ろを向こうとしたら、抱き締められ、キスをされた。あのドンに。
「んっ・・・」
 舌が入ってきた。ヤバイ。何をする気?
「はぁっ・・・」
 やっと離してもらえた。さっさと料理を作ろう・・・。

「ねえ、ドン。さっきのはなあに?」
「・・・返事は?」
「も、もちろんいいわよ」
 そして、改めて抱き締めあった。

 翌日。この辺りを治めているというダータン公爵がやって来た。私と同じ年齢の息子と共に。
「我が下僕よ。余の為にやっとるか?」
「・・・」
「答えぬのか!」
 はっきり言って、今の公爵・レオンナル=ダータンは激情家。怒ると、自分の家の地下牢に2ヵ月閉じ込める。
 そして、民を下僕と呼ぶ。それが不評。
 息子のトルルアは真っ青な顔ですまなさそうにうつむいている。こっちは気弱だ。
「おやおや・・・。公爵殿・・・」
「フン。この辺にはまだ何もないのか。とっとと作れ!」
「ああ、でも・・・」
「なんだ!」
「お、お金が・・・もう・・・」
「それは民を犠牲にしてまでも稼ぐのだ!余は知らぬ」
 その場にいた人は唖然。冷や汗がすっと頬をつたう。民って・・・。
「よいか!期限は半年!余にしては優しくしておるのだ!またラグサルムの月(4月)に訪れよう。まあ、ここにはしばらく滞在しよう」
 トルルアはぱあっと顔を輝かせた。きっと、友達ができると期待してるんだろう。
「ねえ・・・」
「ん?どうしたかトルルア」
「僕、外で遊んでいい?」
「フン。1週間だけ許そう。それ以上は禁止だ!余の名誉の為だ!」
「は〜い・・・」
 トルルアは、はあ、と溜め息をついてどこかへ去っていった。

 国の権力者・・・は・・・。

 翌日、トルルアが私の家に来ていた。何度もここに来ている。
「なあ」